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祝!コミックターミナル・オープンに寄せて、手塚治虫先生の想いを綴る

手塚治虫先生より贈呈された作品

上の漫画は約20数年前に手塚治虫先生が当学院の発行している小紙の『漫画新聞』創刊100号祝いとして贈呈された作品です。

 当学院に海外の人たちが勉強に訪れる、という作品ですが、当時は国内の漫画が急成長していた時期でした。手塚先生はあるとき、「一緒に台湾に行こうよ。向こうの人たちと交流しませんか? 優秀な人たちがかなりいますよ」と語ってくれたことを覚えております。国内のことで精一杯の私には、とても海外の漫画文化のことなど知る由もありませんでした。

手塚先生は「漫画は日本だけのものではない。海外、特にアジアの人たちは漫画が好きだよ。いずれアジアの作家が日本で描く時代が来る。日本漫画学院も広い視野に立って教育してください」と願って、お祝いの作品を描いてくださったのかもしれません。

 それ以降、私は台湾、香港、韓国、中国、インドネシア、シンガポール、フィリピンなどを積極的に訪れ、漫画家、読者、編集関係者とお話を聞き漫画環境に触れました。どこの国や地域も日本ほど環境が豊かではなく、表現の制約があり、出版態勢と流通機構が整ってはなく、漫画を自由に買って読める環境ではありませんでした。
しかし創作者のストーリー作りは未熟だったものの、各コマの画力、トーンに頼らず手描きで仕上げるなど、何とか自分の思いを読者に伝えたいという熱い情熱を感じさせられました。まさに忘れかけつつある漫画の原点を見せつけられたような感じがいたしました。

現在、世界各地で日本の漫画が正式契約し翻訳され出版されておりますが、当時は特に韓国、中国、台湾、香港の地域において海賊版が氾濫しておりました。その影響で漫画を描く人たちが急増したのも事実です。その作風も、年を追うごとに次第に各地域にあった独特の作画になっております。

 漫画は「描く人」と「発表の場」があってこそ拡大していきます。私の信念として『どのような地域でも漫画文化の発展は、漫画家中心でなくてはならない』ということがあります。もちろん読んでいただく人たちや、本を制作する出版社編集者の人たちの支えは非常に大きいものと充分承知しております。しかしながら「漫画」という創作物を生み出さなければ世の皆様にはご提供できないわけですから、漫画家の存在、しいては漫画家自身のレベル向上なくしては漫画文化の発展など考えられません。
漫画家が、心に描いた内容を1枚の白紙に全力投球をして描いた作品は、「ひとりでも多くの人に読んでもらいたい」、「共感してもらいたい」という気持ちでいっぱいでしょう。しかしその発表の場が、近年、急速に狭められつつあります。この状況は創作者にとって「描きたいけど描けない…」、というこれほど辛い状況はありません。描いても読んでもらえなくては創作エネルギーも衰退していきます。

「描く場と発表の場」、これは本当に深刻な問題です――何でもデジタル化していく社会。漫画分野でもその波は確実に押し寄せてきております。『紙に描いて紙で発表する』という通常のパターンから、パソコン、携帯電話などの普及により、『モニター画像で読む』という方向へに変化しております。2011年には地上波テレビがデジタル放送へ移行するように、今後もさらにその勢いは猛烈な勢いで変貌を遂げていくことでしょう。様々なハードウエア、携帯端末などが開発され、さらに変化に拍車がかかり……読者(ユーザ)の意識もそれに沿って日々変革していくことでしょう。
ただかねてより私の中には、「漫画はアナログ出版」というこだわりがありました。しかし読み手がデジタル作品を好んでくるならば、おのずと「紙媒体」の限界が見えてくることも、残念ながら否定できません。

この度、当学院が『コミックターミナル(愛称:コミタ)』という漫画専門ダウンロードサイトをオープンした背景には、「創作者の発表の場を拡大しよう」という強い思いがあったからです。どこの漫画学校も盛況の昨今、だが果たして卒業後はどこで作品を発表するのでしょうか? 読者にどのように「創作魂」をアピールしたらよいのでしょうか? 出版不況下の中、ますますその道は閉ざされようとしています。
当学院の「コミタ」は、「漫画作品の発表の場」です。プロの漫画家の過去の作品でも、同人誌のオリジナル作品、漫画学校の生徒作品、さらに海外の作品でもよいのです。「時代に沿った漫画作品の新たな発表枠づくり」が必要であり、当サイトがその一任を担えることができれば幸いです。
また当学院は、長年の各国での漫画交流活動から、韓国、中国の漫画界と太い信頼関係を築くことができました。今後、海外の優秀な漫画作品も、日本の読者(ユーザー)へご提供することも、大切な我々の役目だと受け止めております。世界各国の優秀な漫画作品が「コミタ」に集まってくるようにしてゆきたいと考えております。

創作者の皆様は、「コミックターミナル」を街の本屋ととらえてください。自作品を当サイトの本棚に置いていただければ、読者が手にとって読んでくれます。本として出版したいという企業が出てくるかもしれません。「コミタ」は配信権を独占しません。著作権者様の作品は、より多くの電子出版の場で発表すべきと判断しているからです。他の電子出版されている作品でも「コミタ」の棚に並べられることができます。「コミタ」は創作物の内容によって様々なコミュニティー広場を作ってゆくことが可能です。
漫画を編集・出版されています出版社の皆さまには、デジタル版と共に、従来の紙媒体の本の販売促進の場としても利用してくだされば幸いです。当然、「コミタ」の販売システムは「ダウンロード本」だけではなく、印刷物としての「漫画本」の販売、さらに「オンデマンド本」販売にも対応しております。
読者(ユーザー)の皆様には、漫画作品のご提供だけではなく、漫画家の近況や漫画界情報も広く配信します。さらに漫画の情報交換、読後の感想、討論などが行える、皆様が気軽に参加できるコミュニティー広場をご提供していきたいと考えております。この広場では、読者(ユーザー)だけではなく、漫画家の皆様にも参加していただきます。漫画家同士が自由に情報交換できる場としても活用していただくことが可能で、さらに漫画家と読者(ユーザー)が自由にコミュニケーションをとれる場にしてゆきます。また「こんな作品が読みたい」という意見も尊重してゆきたいと思いますので、ぜひご意見をお聞かせください。

蛇足ながら当学院では現在、中国の漫画配信会社と業務提携を交わし、絶版作品、単行本ならなかった作品などを蘇らせて中国大陸にて配信しております。少年誌「Flycomic翔」、少女誌「TaTa」の2誌もオンライン漫画として創刊いたしました。ご興味のある方は、当サイトの「関連サイト」よりお楽しみください。
ちなみに当学院のオンライン漫画配信については、年末には韓国、また来春にはアメリカ、シンガポール、タイでも日本の漫画を配信の望みが出てまいりました。

冒頭に手塚先生が私におっしゃった「アジアに目を向けろ」という言葉がやっと実現してきたという感じです。オンライン漫画の世界は、まだまだ創成期です。配信技術もますます向上していくことでしょう。ただ確実に言えることは、オンライン漫画は日本を中心としてアジア諸国から世界に広まっていくということです。創作者の活躍の場も、読者の作品選択も今後、ますます広がっていくことでしょう。

このような状況の中、「コミックターミナル」の役割も非常に重要と受け止めております。漫画文化の発展のため、皆様と共に歩んでまいりたいと思っております。
今後とも、温かいご支援とご協力をお願いいたします。

▼コミックターミナル
http://www.comic-terminal.jp/
コミタバナー
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